キリ
桐の花は、高い梢で咲くので、身近にあっても気がつかないこともあります。「桐の花らしき高さに咲きにけり」(西村和子)。高い所で、高貴な色で天に捧げるように咲く、と見て、あの世を連想させる花と感じとられることもありました。詩人・北原白秋の第一歌集の名も「桐の花」。「手にとれば桐の反射の薄青き新聞紙こそ泣かまほしけれ」「酒注げば黄なる薄雲桐の木の木の間に見えて夏は来にけり」。「五七の桐」「五三の桐」などの紋章は、桐のツボミをデザインしたもの。昔は、箪笥・琴・下駄といえば、桐材でした。娘が生まれたら庭に桐を植え、嫁入り道具の箪笥にする、といわれたほど成長の早い木。