カテゴリ:展覧会( 72 )

長谷川等伯展

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5月9日まで、京都国立博物館。没後400年記念展。等伯は、能登から都にのぼり、桃山画壇の勢力争いに悪戦苦闘しながら、傑作を残しました。行列60分、目玉の国宝「松林図屏風」はあまりの人で、全体が見えず。それでも、「萩芒図」「波濤図」「柳橋水車図」の3つの大作を集めた部屋は、ゆったり見ることができ、大満足。「千利休像」などのするどい肖像画も見ごたえがありました。会期短し、行列覚悟でどうぞ。
by yagi070 | 2010-04-22 17:39 | 展覧会

宮本三郎展

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1月11日まで、神戸市立小磯記念美術館。没後35年記念展で、今回は戦中から戦後すぐまでの作品が中心。宮本は戦中、軍の命令で小磯良平、田村孝之介、藤田嗣治らとともに数度にわたり従軍画家として戦地に赴き、いわゆる戦争画を制作しました。戦後はこれらの作品はアメリカに没収され、長い間人目に触れませんでしたが、永久貸与というかたちで帰国、やっと公開される機会がふえてきました。宮本はどの作品も綿密な取材を重ね、真摯な態度で歴史を記録しようとつとめます。それはまた、皮肉なことに19世紀フランス絵画などが到達した写実主義との対決となります。山下奉文司令官や、敵将パーシバルと実際に会ってスケッチチを重ね、現場の部屋や家具なども検証したうえで、日本のシンガポール占領の「山下・パーシバル会見図」を完成させます。数々の戦争画を描き上げたあと、彼が最後に筆をとったのは、特攻隊で散った中学後輩の肖像でした。戦後は画壇での戦争責任追及に耐えながら、進駐軍の娯楽施設の壁画を手がけたりもします。出展された戦争画の大作はいずれもすさまじい迫力で、見る者を圧倒します。このあと、宮本は一転、色彩が炸裂しそうな絢爛華麗な画境を開き、1974年に69歳で他界します。
by yagi070 | 2009-12-19 13:28 | 展覧会

小野竹喬展

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生誕120年記念展。12月20日まで、大阪市立美術館。岡山県笠岡のラムネ屋の息子に生まれた竹喬は、京都へ出て竹内栖鳳門に。生涯、自然を見つめつづけ、自然のほかのものにはほとんど関心がないような画業でした。人物も、自然の中の一点景として扱われます。栖鳳譲りの写実から、南画に近づき、やがてしだいに象徴的な画風に入ってゆきます。作品はますます簡潔、平明になり、しかも深い表現となるところが、見ものです。だれにもやさしく、おだやかで、親しみやすいのが、竹喬の人柄と作品の味。芭蕉の「奥の細道」につけた、晩年の連作も楽しめます。これまでも竹喬展は見たことがあるので、なつかしい作品の数々と久しぶりに会うことができました。中でも「比叡山」を描いた一点は、私が幼いころから見慣れた比叡山の姿で、胸に迫るものがありました。竹喬は、同時代の日本画壇の多数の逸材の友人と、それらの人々のだれよりも長い命に恵まれ、文化勲章も受けたあと1979年、私の旧宅のすぐ近くの、京都・北大路大橋西詰めの病院で89歳の天寿を全うしました。
by yagi070 | 2009-11-22 10:50 | 展覧会

道教の美術展

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道教の美術」(10月25日まで大阪市立美術館)とは、めずらしいと思ったら、初めての試みだそうです。近ごろは「TAO」ばやりで、道教は人気がありますが、宗教であるような、ないような、なんだか正体不明。不老長寿を願う神仙思想から始まり、中国で生まれて2000年。易はもちろん、老子・荘子の思想、仏教まで取り込み、いまもまだ、どんどん膨張しているのだとか。日本に伝えられてからも独自の発展をとげ、私たちの身近なキャラクターも、たいていは道教とかかわりがあります。ガマ仙人、役行者、安倍晴明、鉄拐、ショウキさん、神農さん、エンマ大王、大黒さん、福禄寿、妙見さん、関帝、それにあの浦島太郎にいたるまで、キリがありません。もちろん星座は重要なモチーフで、九曜星や七夕も入ります。この広いレパートリーの美術を総動員しようというのですから、まことに愉快、痛快な展覧会です。正体不明の正体が、少しわかるような気がしてきました。
by yagi070 | 2009-10-06 00:10 | 展覧会

秋の京都

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小生も昨日をもって「後期高齢者」入り。きょうは、休日の観光客でごった返す京都を走りまわって、4つの展覧会を見てきました。
まず京都駅の「えき美術館」の「ラウル・デュフィ展」(10月4日まで)。デュフィとキスリングが好きだ、と言うと、知り合いの美術の専門家たちはたいてい、ちょっと憐れむような表情をします。他人がどう思おうと、私は、生きることの苦さを知り尽くしたはての、あの軽やかな明るさに魅せられます。デュフィは抜群の素描力で、ヨットや競馬など、激しく動くものに挑戦しました。ついには、線描と色彩をバラバラに分けて、画面に定着させる離れ技を編み出しました。「音楽」を絵にしたことだけでも、ユニークです。
つぎに京都大丸の「橋本関雪展」(9月29日まで)。関雪は神戸の人で、父は明石藩の漢学者。そのせいか漢学の素養が豊かで、竹内栖鳳の門に入り、文人画家として名を成しました。今となっては古い絵といえますが、構想雄大、守備範囲も広く、見ごたえがあります。京都・銀閣寺に有名な「白沙村荘」を遺しました。終戦の年の2月に61歳で没。絶品「霜猿」も出ています。
京都市美術館の「ルーブル美術館展」に移動したら、2時間待ちの大行列。おそれをなして、近くの「青蓮院門跡」の「青不動明王御開帳」(12月20日まで)へ。寺での開帳は、1144年の創建以来これが初めてとか。高野山の赤不動、三井寺の黄不動と並ぶ、国宝三不動。タテ・ヨコ2メートルの絹布の大画面に、青い不動像、赤い炎、2人の童子がまことにバランスよくおさまり、完成度は三不動の中でも一番。この絵は、仏画の約束ごとを厳格に守っていて、その後の絵や像の模範になっているそうです。たまたま、天皇陛下のいとこにあたる東伏見慈晃門主ご自身の解説を聴き、護摩供法要の実際を拝見できました。国宝のすぐ前で護摩の火をたくわけにもいかず、観客をへだてて、建物の外へ張り出した護摩壇がしつらえてありました。
帰りは祇園へ出て、「何必館」の「北大路魯山人展」へ。魯山人展はこれまで何度も見ましたが、これまで見たことのない作品がいくつもありました。いずれも、この館のコレクションだそうですが、さすがに質の高いものがそろっています。木刻の「赤壁賦」が見ものでした。「芸術に計画性などはない。すべて当意即妙。いわば当意即妙の連続である」という魯山人のことばは、デュフィにも通じる、と思いました。
ああ、しんどー。
by yagi070 | 2009-09-21 21:14 | 展覧会

片岡球子展

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昨年1月16日に103歳で没した日本画家・片岡球子の追悼展(4/26まで大阪・なんば高島屋)。若いころは画壇に受け入れられず「落選の神様」といわれながら、やがて頭角を現しました。小学校教師に始まる教育者の仕事と画業をみごとに両立させ、生涯独身を通し、84歳で文化勲章を受章。そこからがすごい。90歳を過ぎても大学で後輩を指導、101歳になっても展覧会に新作を出品しつづけました。こども、富士山、それに歴史上の人物のユニークな肖像画連作「面構」(つらがまえ)と、さまざまなシリーズを経て、78歳からは新しく「裸婦」シリーズがスタート。そのヌード作品のみずみずしいこと、まるで青年画家の作品のようです。すさまじいばかりのバイタリティと、絢爛華麗な色彩の氾濫。加齢などどこ吹く風の力強さには圧倒されます。だれもが元気になる展覧会。
by yagi070 | 2009-04-16 14:28 | 展覧会

京都御所ゆかりの至宝展

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2月22日まで、京都国立博物館。昨春の「京都御所障壁画展」の続編。今回は歴代天皇の肖像や直筆文書(宸翰)、今も使われている工芸品、かつて桂離宮で使われていたもの、それに天皇から京都の各寺院に下賜され、所蔵されてきた美術品です。京都御所にあった宝物のほとんどは、明治の東京遷都で皇居に移されましたから、わずかに残ったものといえ、一般にはなじみにくいものも多いようです。陶芸ファンが見逃せないのは、後西天皇ゆかりの、中国南宋青磁の絶品、鳳凰耳花生「万声」(国宝・久保惣美術館蔵)と「千声」(重文・陽明文庫蔵)が揃ったところ。いつまでも前を離れない人もいます。私は、後白河法皇像と、そのゆかりの普賢菩薩騎象像が印象に残りました。
by yagi070 | 2009-01-17 13:22 | 展覧会

四大浮世絵師展

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1月21日まで、美術館「えき」KYOTO(JR京都駅)で。数ある浮世絵師のうち、思いきって写楽・歌麿・北斎・広重の4人にしぼった、コレクター中右瑛氏の所蔵品による展覧会。名だたるコレクションだけに、刷り色もあざやかな名品ぞろい。小さな画面に、4人それぞれの抜群のデザイン感覚があふれ出しそうで、とても大きな絵に見えてきます。この4人の代表作を一気にまとめて見るには、絶好の機会。写楽が20点も並び、北斎では「赤富士」と同じ版木を使った「青富士」という珍品も。堪能します。
by yagi070 | 2009-01-17 13:01 | 展覧会

三井寺展

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三井寺展
12月14日まで、大阪市立美術館。大津の三井寺(園城寺~おんじょうじ)は、古く白鳳時代に始まり、平安時代に智証大師円珍によって復興されました。その円珍が留学したいた唐から帰って1150年の記念展。目玉は20年ぶりの公開という秘仏、国宝の絵画「不動明王像」(黄不動)と、それをもとに制作された木像。秘仏だけに保存状態がよく、木像は鎌倉時代のものとは思えない、あざやかな色彩を残しています。たくさん出ているラッキョウ頭の円珍像も、とても印象的。この寺は比叡山との宗門争いで何度も焼亡、そのたびに命がけで持ち出された数々の仏像、経典が残っています。火をくぐって黒くなった仏像は、小さなものでも存在感があります。「いでいるや波間の月を三井寺の鐘のひびきに明くるみずうみ」の西国33所の第14番の、あの如意輪観世音座像も拝めます。明治になってからのフェノロサ(ことしは没後100年)とこの寺にかかわる資料、狩野光信の障壁画など、盛りだくさんです。
by yagi070 | 2008-11-29 12:29 | 展覧会

ダーウィン展

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9月21日まで、大阪市立自然史博物館。2009年は、チャールズ・ダーウィン生誕200年。2005年のアメリカ自然史博物館を皮切りに、世界各国を巡回中の展覧会。最後はロンドンで開かれます。ダーウィンの生涯と、進化論の成り立ちが、さまざまな実物展示で、よくわかるようになっています。なによりも感心するのは、せいぜい虫メガネのような道具しかなかった時代に、ダーウィンが、帆船に乗り込んで世界を一周、もっぱら自然を自分の目で観察、とぎすまされた直感で生命進化の歴史をさぐりあてたことです。富裕な家の生まれで、友人、家族にも恵まれ、一生好きなことをして、大事を成しとげた、しあわせな人でした。
by yagi070 | 2008-09-14 15:40 | 展覧会