宮本三郎展

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1月11日まで、神戸市立小磯記念美術館。没後35年記念展で、今回は戦中から戦後すぐまでの作品が中心。宮本は戦中、軍の命令で小磯良平、田村孝之介、藤田嗣治らとともに数度にわたり従軍画家として戦地に赴き、いわゆる戦争画を制作しました。戦後はこれらの作品はアメリカに没収され、長い間人目に触れませんでしたが、永久貸与というかたちで帰国、やっと公開される機会がふえてきました。宮本はどの作品も綿密な取材を重ね、真摯な態度で歴史を記録しようとつとめます。それはまた、皮肉なことに19世紀フランス絵画などが到達した写実主義との対決となります。山下奉文司令官や、敵将パーシバルと実際に会ってスケッチチを重ね、現場の部屋や家具なども検証したうえで、日本のシンガポール占領の「山下・パーシバル会見図」を完成させます。数々の戦争画を描き上げたあと、彼が最後に筆をとったのは、特攻隊で散った中学後輩の肖像でした。戦後は画壇での戦争責任追及に耐えながら、進駐軍の娯楽施設の壁画を手がけたりもします。出展された戦争画の大作はいずれもすさまじい迫力で、見る者を圧倒します。このあと、宮本は一転、色彩が炸裂しそうな絢爛華麗な画境を開き、1974年に69歳で他界します。
by yagi070 | 2009-12-19 13:28 | 展覧会
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