美空ひばりと「旅ひととせ」

美空ひばりと「旅ひととせ」_d0003725_14334174.jpg
明6月24日は、美空ひばりの17回忌。ひばりの芸能生活40年の1986年、小椋佳作詞作曲のひばりのアルバム「旅ひととせ」ができました。恋を失った男が日本各地を1年かけて放浪する仕立てで、岩燕(東京)/早乙女(清水)/紫陽花(大津)/花茣蓙(小豆島)/国比べ(鹿児島)/初蜩(唐津)/萩の賑い(萩)/太鼓(能登)/おしょうしな(米沢)/函館山から(函館)/風花便り(盛岡)/帰心(水戸)の12曲の組曲になっています。これが、小椋の詩といい、曲といい、ひばりの歌唱も、12曲とも非の打ちどころない出来で、おそらく二人にとっても会心の作品だったにちがいありません。ひばりが亡くなる3年前のことです。それが、同じ年に出た、やはり小椋の作品「愛燦燦」の大ヒットの蔭にかくれてしまい、いくつもある「ひばり全集」のたぐいにも入っていません。ひばりのファンでも、この傑作組曲を知らない人もいます。のちにCDにもなり、小椋自身が歌ったものも出ましたが、ひばりのものには及びません。私が知ったのはずっと後のことですが、すっかり惚れこんで、ひところは全曲を暗唱していたほどです。でも、カラオケにはシングルになった「函館山から」と「太鼓」しかなく、歌う機会もないまま忘れていました。先日、NHKハイビジョンが、この組曲を特集していたのを見て、なつかしく思い出し、また鼻歌で歌い始めています。
16年前、美空ひばりの訃報を載せた朝刊をつくったとき、私はたまたま大阪の編集の責任者でした。若い記者からは「演歌歌手が死んだくらいで、騒ぎすぎる」という声もありましたが、「これは、ひとつの時代が死んだということだ。もっと騒げ」と押し切りました。結果は、どの新聞も大展開。時代認識のない後輩のいうことをきいていたら、大恥をかくところでした。ひばりの歌のリストづくりに、担当者が閉口していたので、私がしゃしゃり出て、25曲ほど選曲しました。他紙のリストとは少し違っていましたが、あとでコロムビアの人から「毎日さんのは、ほんとうにひばりの歌が好きな人の選曲だと思った」といわれました。
現役時代、何度かこの女王にインタビューする機会があったのに、そのたびにいろいろな事情で流れてしまったのが、かえすがえすも悔やまれてなりません。
by yagi070 | 2005-06-23 15:03 |
<< 季節の壁紙~ドクダミ また行ってきました愛・地球博 >>