文楽4月公演

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国立文楽劇場の文楽4月公演を見てきました。文楽劇場の本公演はほとんど欠かさず見ているのですが、この新春公演は忙しくて行けなかったので、ことしは初めてです。
まずは「楠昔噺」(くすのきむかしばなし)。おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に、の桃太郎昔話で義太夫は始まります。舞台は、端午の節句の河内・松原。「ちまき」をつくる所作もあります。老夫婦にはそれぞれ連れ子があり、おじいさんの息子は宇都宮公綱、おばあさんの娘の婿は楠正成。一家は南北朝の対立に巻き込まれます。老夫婦が命を賭けた説得にも、二人の武将はにらみ合ったまま、老夫婦が無残な死を遂げる結末となります。「どんぶらこ」の愛称がある初幕の、玉男と文雀、二人の人間国宝の遣う老夫婦が、とてもいい味でした。床は、咲・千歳・十九大夫。咲大夫の軽妙さが、新発見。
つぎは「艶容女舞衣」(はですがたおんなまいぎぬ)。「いまごろは半七つぁん、どこにどうして」のお園のくどきが超有名な「酒屋の段」は、よく上演されておなじみですが、つづく「道行霜夜の千日」の心中場は、26年ぶりだそうです。追いつめられた三勝・半七の二人は死を決意して、上汐町から千日前・法善寺に向かいますが、ちょうど、文楽劇場のある場所を通ることになるので、この道行は妙に現実味があります。乳飲み子を残しているところが、ほかの心中ものとは、おもむきを異にします。お園は文雀。キリは綱大夫。子息・清二郎の三味線が冴えています。
なお、ことしから舞台上方に「字幕」が出ることになり、パラパラ台本をめくる手間がはぶけ、むずかしい語りの文句もよくわかります。
国立文楽劇場はこちら
by yagi070 | 2005-04-18 19:38 | 文楽
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