季節の壁紙~ハマユウ

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ハマユウ(浜木綿)
コウゾの皮を裂いて神事に使う「木綿」(ユウ)。この花の白い糸のような形が似ていて、海辺に咲くことから「浜木綿」。また葉がオモト(万年青)にそっくりなので、ハマオモト(浜万年青)とも呼ばれます。ヒガンバナの仲間。
柿本人麻呂の「み熊野の浦の浜木綿百重(ももえ)なす心はもへど直(ただ)に逢はぬかも」を受けて、佐藤春夫も「望郷五月歌」で「若者の憩へるあらば/海の幸鯨(いさな)捕る船の話も聞くべかり/且つは問へ/浦の浜木綿幾重なすあたり何処と」と歌います。ハマユウは熊野の海の花。「百重」「幾重」は、花ではなく、葉が重なりあうさまをさしています。「ハマユウの葉が重なりあうように、幾重にも、恋しい人を思っているのだけれど・・・」。現代人はこの植物を見て、こういう連想はとてもできませんね。むしろ、この錯綜した花の姿に、恋の苦悩を見るというところでしょうか。
by yagi070 | 2006-07-31 16:14 |
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