興福寺国宝展

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大阪市立美術館の「興福寺国宝展」(7/10まで)を見てきました。「国宝展」といっても、鎌倉のものが中心で、人気の阿修羅像など奈良時代の作品は、山田寺仏頭をのぞいては、今回は出ていません。治承4年(1180)平重衡の南都攻めで、藤原氏の氏寺、興福寺は、東大寺とともに焼亡。翌年早くも復興事業が始まり、康慶・定慶・運慶らが、新たな仏像制作に心血を注ぎました。この時期の作品には、これら天才仏師たちの復興へのひたむきな情熱が感じとれます。
肖像彫刻の傑作、無著・世親像はもちろん、十二神将、四天王像などの迫真の表情を見ていると「いつかどこかで見かけた人のような」と思ってしまいます。薬で人の心身を癒す、兄弟一対の薬王菩薩像は高さ3.6メートルもあり、病いに苦しむ数知れない人々が、この巨大な金ピカの像を見上げて、この仏さまならきっと助けてくださる、と信じ、すがる思いで祈りを捧げたにちがいありません。灯篭をかかげた愉快な鬼・天燈鬼像のうしろにまわって、初めてフンドシの丸いお尻を見ることができました。こういう展覧会ならではのことです。
興福寺は変わったお寺です。門もなければ塀もない。奈良公園と境内の区別がつかず、鹿も人も往来自由。ここの「国宝館」は、それこそ教科書に出てくる名品傑作が所狭しとひしめき、壮観です。近鉄奈良駅のすぐそばでもあり、奈良へ出かけて、時間の余裕ができると、いつもここへ走って行きます。
この興福寺、創建1300年を迎える、2010年をめざし、中金堂の再建を進めています。
by yagi070 | 2005-06-16 00:43 | 展覧会
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