![]() ![]() アブチロン まるで違う花のように見えますが、どちらもアブチロンです。ほかにも、もっと異なる色や模様のものが、ざっと100品種もあるそうです。共通しているのは、カエデのような葉と、花ビラの血管のような脈。夏の花ということになっていますが、近ごろは年中見ます。アブチロンとは、ギリシャ語で「牝牛の下痢止め」という意味だとか。昔はそういう用途もあったのでしょう。 ▲
by yagi070
| 2005-07-31 21:54
| 花
服部良一が戦時中、戦時歌謡、いわゆる軍歌のたぐいを一切作曲しなかった、とするような論評をときどき目にしますが、それは事実と違っています。太平洋戦争が始まってから終戦の年まで、服部もまた毎年のように軍歌をつくっていることは、服部のホームページ「胸の振子」の「服部良一全仕事」のリストを見てもわかります。ただし昭和17年の「みたから音頭」を除いては、ほとんどヒットしませんでした。マーチの得意な古関裕而や、演歌の古賀政男にくらべて、服部の才能は戦時歌謡に向いていなかったことを、本人もよくわかっていたのでしょう。また、「湖畔の宿」をめぐるゴタゴタや、「夜のプラットホーム」の発禁問題などもあり、ジャズも禁止されて服部は軍部ににらまれ、戦時中はあまり作曲の注文もこなかったのかもしれません。
戦時中の服部は、作曲家としてよりも演奏家として活動し、中国の前線慰問にたびたび出かけています。終戦直前の8月6日にも上海の競馬場で野外コンサートの指揮をしています。そのまま収容所に入り、12月にやっと引き揚げてきました。古賀と古関は日本で終戦を迎えています。服部は古関や古賀ほどおびただしい軍歌をつくりはしませんでしたが、「軍歌にかかわらなかった反骨の作曲家」と持ち上げるには無理があり、ヒイキの引き倒しのように思います。 古賀、服部、古関の3人は年齢も近く、いずれもコロムビアに在籍したライバルでしたが、3人とも音楽学校で専門の教育も受けず、大を成したところが共通しています。大阪で生まれ、終生関西弁のアクセントで通した服部は、家が貧しくて中学へも進めませんでしたが、ウクライナ出身の指揮者エマニュエル・メッテルの個人教授で音楽理論をたたきこまれました。大阪フィルハーモニーの朝比奈隆とは、メッテル同門の相弟子です。「習ったことは他人に教えろ。そしたらそれが自分の身につく」というメッテルの教えに従い、服部は私塾をつくって仲間に音楽理論を伝え、そこから日本のポップス界を支える多くの才能が育っていったのでした。 ▲
by yagi070
| 2005-07-31 11:49
| 歌
![]() 2007年は服部良一の生誕100年。すこし早いですが、大阪の生んだこの大作曲家の作品をまとめて30曲ほど、みんなで聴く会がありました。 3500曲を越える作品のうち、もっとも広く知られたのは、なんといっても「青い山脈」です。この歌は、平成元年に美空ひばりの「川の流れのように」が登場するまで、長く「日本人の好きな歌」投票のナンバー・ワンの王座を独占しつづけました。 石坂洋次郎原作、原節子・龍崎一郎・池辺良・杉葉子・若山セツ子・木暮実千代・伊豆肇らなつかしい面々が出演した青春ユーモア映画「青い山脈」の主題歌として作られましたが、監督の今井正はこの歌がどうしても気に入らず、録音にも立会いませんでした。今井は「映画に主題歌など無用」といい、その後の作風からみても、敗戦による価値の転倒に直面した人間群像を、強い風刺をこめて描き出したかったのではないでしょうか。西条八十の詩は、映画のストーリーとは離れて書かれています。映画の舞台になった地方の港町には「雨に濡れてる(空襲の)焼跡」などありませんし、「あこがれの旅の乙女」も登場しません。それでも昭和24年3月に藤山一郎・奈良光枝のレコードが発売されると、たちまち大ヒット。4か月後に映画が封切られたときには、もう町中でみんなが口ずさんでいる、というありさまでした。もう1曲、挿入歌として、やはり西条・服部コンビでつくられた「恋のアマリリス」は、主演の原節子に歌わせようとしましたが、原がどうしても承知せず、二葉あき子の歌になりました。もちろん、映画にはアマリリスなどというしゃれた花は、出てきません。 そのころ服部は、大阪梅田劇場と京都大映撮影所の仕事を掛け持ちし、行ったり来たりしていました。京都へ向かう省線(いまのJR)の、闇屋や買出しの客で満員の車内で、この歌の旋律を着想、あわてて手帳にハーモニカの数字譜で書留めました。まわりの人は、闇屋が売り上げの計算でもしている、と気にもとめませんでした。いろいろな解説や資料に「車窓から見える六甲の山々を見て楽想を得た」とありますが、神戸へ行くならともかく、大阪から京都に向かうのに電車の窓から見えるのは六甲ではなく、北攝の山々のはずです。このまちがいのもとは、服部の自伝「ぼくの音楽人生」にあります。服部自身が勘違いして「六甲」と書いたのが、関西の地理を知らない人に引用、孫引きされるうち「六甲」になってしまったのですね。「六甲」の歌というなら、「六甲おろし」(古関裕而)は別格として、戦中昭和17年の灰田勝彦の「新雪」(佐々木俊一)が、原作の藤沢恒夫の小説が六甲を舞台にしているので、ぴったりです。 なお、この会は9月に大阪でも開かれます。詳しくはこちらの「特別公開講座」で。 ▲
by yagi070
| 2005-07-30 10:52
| 歌
![]() トウモロコシ(玉蜀黍) 見えているのは雄花。やがて葉の付け根からヒゲの雌花が現れます。コロンブスの手で新大陸からヨーロッパへ、そして16世紀に南蛮ポルトガルから日本へ。だから別名「なんばん(南蛮)」。大阪では「ナンバ」。または「トウキビ」。トウモロコシの花は「花なんばん」。祭りの夜店でショウユをかけて焼くナンバの香りが、こどもにはたまりませんでした。戦中戦後、これのヒゲを干して辞書のインデアンペーパーで巻き、代用タバコにして吸っていた親父の姿を思い出します。 ▲
by yagi070
| 2005-07-24 10:00
| 花
![]() フロクス 1本でもピラミッド状に花がミッシリつくのに、集団になると大迫力です。色や模様もさまざまに60種類くらいあります。花屋さんでは「フロックス」と表示していることもあります。「フロクス」はギリシャ語の「炎」から。いやもう、お暑いことです。 ▲
by yagi070
| 2005-07-21 12:23
| 花
![]() ![]() めずらしい切手ついでに、これはクリスタルの粒を特殊な接着技術で切手に張りつけたクリスタル切手。キラキラ光っているのがそれです。クリスタルのスワロウスキー社とオーストリア郵政局のタイアップ切手。こぼれ落ちないかと心配で、とても郵便物に貼る気にはなりません。 ▲
by yagi070
| 2005-07-21 12:12
| 切手
![]() 刺繍切手 最近、オーストリアで発行された、刺繍切手です。図柄はエーデルワイス。布に刺繍したものを、そのまま切手にしています。美しい切手ですが、消印が一苦労ですな。 ![]() ![]() これも、以前に出たスイス(左)と、イタリア(右)の刺繍切手です。 ▲
by yagi070
| 2005-07-21 11:59
| 切手
![]() ムクゲ(木槿) この種の花はみなヒビスクス、つまりハイビスカスの仲間。ムクゲはヒビスクス・シリアクス。白、紫、紅、底紅の日の丸、一重、八重、いろいろあります。韓国の国花「無窮花(ムグンハ)」もこれ。朝咲いて夕方にはしおれる、一日花。ものごとのはかないことの例え「槿花(きんか)一朝の夢」も、この花です。 ▲
by yagi070
| 2005-07-16 10:37
| 花
![]() 神戸市立博物館の「ベルリンの至宝展」を見てきました。ことしは「日本におけるドイツ年」。ベルリン・シュプレー川の中州に4つの博物館が集まる「博物館島」は世界文化遺産。戦争で壊滅の危機にさらされながら、みごとによみがえりました。今回は、それぞれの博物館人気所蔵品の「つまみ食い」展覧会。先史時代から近代まで、あまりにも広範囲。間口の広さと、もののよさは抜群ですが、コクのある展覧会とはいえません。 ▲
by yagi070
| 2005-07-15 14:33
| 展覧会
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自己紹介
本名・八木亜夫(やぎつぎお)。退役新聞記者。現在は文章教室の先生。雑誌の執筆、講演など。毎日新聞客員編集委員。1934生まれの80歳
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